>歩いても、歩いても辿り着けない

[迷い]

 

…疲れた。

歩き続けて何日経ったのだろう。

4回くらい夜を迎えたはずだから、4日か。

何で俺は歩き続けるのか…

自分では、わからない。

どうやら俺は記憶を失ったらしい。

目が覚めたとき、何も覚えてなかった。

周りの風景のことも、

俺自身のことも。

どうやら俺は17歳らしい。

持ってた学生証に書いてあった。

名前は…汚れてて読み取れなかったのだが。

とにかく、歩き続ければ何とかなる

…と思う。

でも…やっぱり疲れた。

俺だって生き物な訳だし、体力ってものがある

…と思う。

とりあえず、寝るか…

地面は草になってるし、寝転がっても大丈夫そうだ。

…寝よう、いや寝なければ。

寝ないと、いけない……気がする。

次に目が覚めたときには、何か思い出してればいいのだが…

……特に、さっきと変わってないな…。

どれくらい寝たんだろう…

まあ、いいか。

ん…なんだ…?

いつのまにか場所が変わってる…

しかもデカイ切り株の上に誰か乗ってる。

誰だ…?

「こんにちわ。」

…喋った。つーか話しかけてきた。

随分痩せてるな…この子供。ガリガリだ。

「…言葉。」

ん?

「言葉、わからないの?」

…は?

「せっかく久しぶりに人が来たのに、残念だわ。」

「…いや、一応…わかる。」

何話し返してるんだよ俺っっ!!

「よかった。」

「…お前、ここで何してんの?」

「お兄ちゃんをね、待ってるの。」

…こんな深い森の奥でか?

「ふぅん。どれくらい待ってるの?」

「そうね…多分、2年かしら。」

…ちょっと待て、2年だぁ?

2年も、ここでずっと待ってるっていうのか?

たった、一人で?

「…寂しく、ないのか?」

「…寂しいわ。」

ホラ…やっぱりな。

「…でも今は、貴方が居るから寂しくないわ。」

「…はぁ?」

「ふふ。」

さっきからコイツ…何微笑んでるんだよ。

ずっと、ここに来てから笑ってるぞ。

「…お前さぁ、ずっと待ってないで兄貴追いかければよかったじゃん。」

「え…?」

…あれ?いきなり顔が険しく…。

「いや…ちゃんと、足付いてるんだからさ。」

「それは無理よ…私の足、使えないから。」

…コイツ、生まれつき歩けない体なのかよ。

そんな妹を、一人で置いてくなんて…酷ぇ兄貴だな。

「そこまで…おんぶしてってやろうか?」

「いい。ここで待ってるわ。」

「や、でも…」

「いいの。貴方には、ちゃんと使える足があるんだから、行って頂戴。」

…何故か…目に涙溜めてるぞ、コイツ。

まあいいか。いいって言ってるんだし。

「じゃあ、俺行くけど…頑張れよ。」

「ええ。貴方も。」

「兄貴、来るといいな。」

「絶対来るわ。だって、私のお兄ちゃんだもの。」

…すげぇ自信だな。

俺も、負けてられないな。

「じゃあな。」

「うん。」

こうして俺はまた歩き続ける。

何かを思い出すまで、とりあえず。

 

「…いってらっしゃい。お兄ちゃん。」

 

 

 

+後書き+

書かない書かないと言っていた続編です。

舞台はあの2年後の世界。

少女は9歳から11歳になりました。

男は、どうやら落石事故に遭い、記憶喪失になった模様。

それを、主人公は知らない。

けど、少女は把握している。

そんな感じ(どんな)

次は少女の視点で書いてみようかな。

 

 

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