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[迷い]
…疲れた。
歩き続けて何日経ったのだろう。
4回くらい夜を迎えたはずだから、4日か。
何で俺は歩き続けるのか…
自分では、わからない。
どうやら俺は記憶を失ったらしい。
目が覚めたとき、何も覚えてなかった。
周りの風景のことも、
俺自身のことも。
どうやら俺は17歳らしい。
持ってた学生証に書いてあった。
名前は…汚れてて読み取れなかったのだが。
とにかく、歩き続ければ何とかなる
…と思う。
でも…やっぱり疲れた。
俺だって生き物な訳だし、体力ってものがある
…と思う。
とりあえず、寝るか…
地面は草になってるし、寝転がっても大丈夫そうだ。
…寝よう、いや寝なければ。
寝ないと、いけない……気がする。
次に目が覚めたときには、何か思い出してればいいのだが…
*
*
*
*
……特に、さっきと変わってないな…。
どれくらい寝たんだろう…
まあ、いいか。
ん…なんだ…?
いつのまにか場所が変わってる…
しかもデカイ切り株の上に誰か乗ってる。
誰だ…?
「こんにちわ。」
…喋った。つーか話しかけてきた。
随分痩せてるな…この子供。ガリガリだ。
「…言葉。」
ん?
「言葉、わからないの?」
…は?
「せっかく久しぶりに人が来たのに、残念だわ。」
「…いや、一応…わかる。」
何話し返してるんだよ俺っっ!!
「よかった。」
「…お前、ここで何してんの?」
「お兄ちゃんをね、待ってるの。」
…こんな深い森の奥でか?
「ふぅん。どれくらい待ってるの?」
「そうね…多分、2年かしら。」
…ちょっと待て、2年だぁ?
2年も、ここでずっと待ってるっていうのか?
たった、一人で?
「…寂しく、ないのか?」
「…寂しいわ。」
ホラ…やっぱりな。
「…でも今は、貴方が居るから寂しくないわ。」
「…はぁ?」
「ふふ。」
さっきからコイツ…何微笑んでるんだよ。
ずっと、ここに来てから笑ってるぞ。
「…お前さぁ、ずっと待ってないで兄貴追いかければよかったじゃん。」
「え…?」
…あれ?いきなり顔が険しく…。
「いや…ちゃんと、足付いてるんだからさ。」
「それは無理よ…私の足、使えないから。」
…コイツ、生まれつき歩けない体なのかよ。
そんな妹を、一人で置いてくなんて…酷ぇ兄貴だな。
「そこまで…おんぶしてってやろうか?」
「いい。ここで待ってるわ。」
「や、でも…」
「いいの。貴方には、ちゃんと使える足があるんだから、行って頂戴。」
…何故か…目に涙溜めてるぞ、コイツ。
まあいいか。いいって言ってるんだし。
「じゃあ、俺行くけど…頑張れよ。」
「ええ。貴方も。」
「兄貴、来るといいな。」
「絶対来るわ。だって、私のお兄ちゃんだもの。」
…すげぇ自信だな。
俺も、負けてられないな。
「じゃあな。」
「うん。」
こうして俺はまた歩き続ける。
何かを思い出すまで、とりあえず。
「…いってらっしゃい。お兄ちゃん。」
+後書き+
書かない書かないと言っていた続編です。
舞台はあの2年後の世界。
少女は9歳から11歳になりました。
男は、どうやら落石事故に遭い、記憶喪失になった模様。
それを、主人公は知らない。
けど、少女は把握している。
そんな感じ(どんな)
次は少女の視点で書いてみようかな。
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