最近僕が考えるコト

君と

僕との間に

どのくらい距離があるのだろう…。

＝君と僕の間に＝

「ラビ！」

どこからかアレンの声がスル

「ラビ！」

でもどこからともなくってワケじゃないみたいだ

「ラビ！これイノセンス！忘れないでくださいよ！」

振り返るとアレンの顔がすぐにある

ホラ、こんなに近くに居た

「おーわりぃ。忘れてたわ。届けに行かないと…。」

もう少し一緒に居たかったな

任務が終ってもうサヨナラ

自分の本心が頭の中を駆け巡る

「ラビ、どうしたんですか？何か様子が…。」

何で気づくんだよ

「ん？何でもねぇよ？」

気付かれない思い

気付かれてはいけない思い

ホントは気づいて欲しいくせに

自分の意地の悪さに溜め息をつく

そんな思いが余計に重荷となって、僕の背中に容赦なくのしかかってくる

どんなに頭で理解しようとしてもダメなんだ

「本当に…。大丈夫ですか？」

心配そうに俺の顔を覗き込む

大丈夫じゃないよ。なんて言えるわけないだろ

「当たり前だろ。オレが具合悪くした事なんてあると思ってんのか？」

オレは造った笑顔で微笑み返す

「そりゃあヒトですから…」

クス、とアレンが微笑む

直接、君の笑顔が脳に入ってくる

「じゃあ、オレ届けてくるから」

「じゃあ…お願いします」

アレンからイノセンスを受け取る

オレの安らぎであって、憂鬱でもある

この笑顔を抱きしめる日が来ないと思うと歯痒いんだ

どんなに辛い夢を見ようとも、現実の方が辛い

どうしようもないくらいの悪夢

僕と君とのキョリはどの位？

いつだったか君に言ったことがあるコトバ

『知ってた？アレン。哀しみが重なりあって《ナミダ》になるって？』

『…え？』

『ナミダの内ならまだ流されるんだ…』

『……』

『ただ』

『ただ？』

『哀しみが積もりすぎると、ヒトはヒトとして生きられなくなってしまう』

『それって…』

『…それが“ＡＫＵＭＡ”なんだよ』

『………』

『お前も…哀しかったんだろ…』

『………』

このとき、初めて君が僕にナミダを見せた

養父をアクマにしてしまったコト

ココロに空いた大きな穴

涙をみせる君の顔は、オレが全く知らないアレンだった

知らない。オレはアレンのこと何も知らないんだ。

もっと気づいて？気づかせて？

ホラ、距離がある。

「ラビ！」

またどこからか声がする・・・

「ラビってば！聞いてるんですか？」

振り向けばすぐ横に

「お前・・・なんで此処に？」

「何でって…。イノセンス届けるんですよ？」

「俺が行くってさっき言ったんだけど」

「一人より二人の方がいいじゃないですか」

にっこりと笑う君

うれしい

　　　キョリなんて

　　　　　　　　　　　こんなに近く

　　　　　　　　　　　　　　　　何で気づかなかったんだろう？

君はこんなに近くで微笑んでいてくれていたのに

大切にしよう

その笑顔

まもってあげるよ

君が望むなら

キョリなんてどうでもいいんだ

”キミニキラワレタクナイ”

ただそれだけ

お互いに歩み寄れば距離なんてすぐ縮まる

君が逃げても、僕のほうが早いと思うよ？

何で気づかなかったんだろ？

こんな単純な事に

「じゃあ行くか！」

「ちょっラビ！そっちは反対方向ですよ！」

「じゃあ遠回りして道草食おうぜ？」

「ラッ！ラビ！」

君と僕のキョリ。

それは

歩んで追いつくモノ

顔をあげればすぐ側に…

<END>